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TOP事例紹介金融円滑化法の活用について 2

今月のコラム

−金融円滑化法の活用について 2 −



3.金融円滑化法の背景〜 中小企業を守るためではない!〜
(1)09年3月期の金融機関の決算を見ると、大幅な黒字転換を果たしたところが続出しました。景気が回復した訳でもないのに「なぜ銀行だけがそんなに儲かっているのか?」と不思議に思われた方も多いのではないでしょうか?好決算の理由は、金融検査マニュアルの中身を改訂したためで、具体的には中小企業に対する査定基準を緩和した事にあります。
今後5年間で実現出来る可能性が高い再建計画があれば不良債権と看做さなくても良い → 引当不要 → 利益が増える という図式です。ところが改定から時間が経過し、こういった計画の実現性に黄信号や赤信号が灯り始めました。
(2)昨年9月24日・25日に米国で「G20ピッツバーグ・サミット」が開催されました。政権交代の狭間で日本からは金融担当大臣が出席できなかったようですが、この会議で「金融機関のBIS規制」を厳しくする事が決まりました。一昨年に発生したリーマンショックの反省を受けたものです。
BIS規制とは、国際業務を行う金融機関に求められている総資産に占める自己資本の割合の事で、現行の8%が12%に引き上げられました。算式で表すと、
{自己資本(利益+普通株式)}/総資産
に100を掛けたものとなります。分母の総資産には、金利を生む貸付金が入ります。なぜ金融機関が貸し渋りをするかと言うと、貸せば貸すほど分母が増える = BIS規制の基準が達成出来なくなる からです。同じ貸付金でも、住宅ローンの場合は貸付額面の35%で分母に入れても良いというルールがあります。住宅ローンなら、BIS規制の割合をそれほど悪化させずに済みます。全国の金融機関が住宅ローンに力を入れるのは、こういう理由があるからです。
今年に入って東京三菱UFJやSMBCが相次いで約1兆円の普通株式を発行したのは、ピッツバーグ・サミットでの決定を受けてBIS規制の分子を厚くしようとしたからです。先に述べたように、分子が厚くないと企業向けの貸付が出来なくなってしまいます。
(3)普通株式を発行しても引き受け先が集まる優良メガバンクは良いとしても、その他の金融機関はどうでしょうか?
中小企業が破綻すれば引当を取っていないので一気に利益を圧迫する → 決算が悪化 → そんな銀行の株式を買う人はいない → 分子は薄いまま → 企業向け融資が出来ない → 益々決算が悪くなる → BIS規制を達成出来ない → 破綻 という図式になる事は明らかでしょう。金融円滑化法は、弱小金融機関の破綻を回避するために制定された、というのが本当のところです。

4.金融円滑化法の活用
今回のBIS規制の見直しで、一部を除けば積極的に融資が出来る金融機関はなくなったと言えます。融資が出来たとしてもその審査は大変厳しいものになる事は間違いないでしょう。
国が今、金融機関に報告義務まで課して金融円滑化法を推進している真意は、「BIS規制の厳格化でやがてどこの銀行もお金が貸せなくなります。政府も円滑化法を作って暫くは返済をストップ出来るようにしました。その間にせいぜいお金を蓄えて下さい。そしてその間に生き残り策を考えて下さい」という事なのです。 この国では今、少子化が進んでいます。少子化が進めば、サービスを受ける人間や商品を買う人間が少なくなるのですから、どんな産業もやがて先細ってしまう事は火を見るよりも明らかです。
「月末の決済資金が…」などと目先だけを凌いでいては将来はありません。金融円滑化法を活用して資金繰りに追われる毎日から離れて真剣に「生き残り策」を考える時期であるのかも知れません。


NPO法人西日本事業支援機構 アドバイザー 小西吾郎
 
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